ケニア旅行記
(2007年7月27日〜2007年8月5日)
★ 5日目 ★
サファリ初日のゴードンさんとの会話が思い起こされる。 僕:『ゴードンさん、僕は一番にヒョウが見たい。でもヒョウは難しいよね。それからチーターとライオンも見たい』 それに応じてゴードンさんはこう言ったのだ。 ゴードン:『ヒョウは一番難しいです。でもチーターは見れますよ。ライオンもたくさん見れますよ』と。 そして、昨日の夜からの夫婦の愚痴っぽい会話は『まだ、チーター見れてないんですけど・・・しかもライオンもちゃんと見れてないんですけど・・・ゴードンさん、見れるって言いましたよね!!』と心中穏やかじゃなくなった。おまけに、行く末を案じて、僕は昨夜不精ヒゲまで剃ったのだ。 ゲームサファリ3日目の朝もロッジを6時半に出発する。2、3日ゲームサファリが続くと、たいていの動物を発見し、まだ見ていない動物や動物の珍しい光景をサファリ客は求めがちになっていく。ガイドにはつらい現実だ。当の僕たちも、ガイドに言いにくいが立っているオスライオンとチーターが見たい、としっかり気持ちを伝える。本当はヒョウも見たいしサイも見たい、ライオンのハンティングもできれば見たい、と気持ちは欲張りだ。 しかし、そんな気持ちもサバンナの朝を見れば、心は穏やかになっていく。 今朝の収穫は朝日と恥ずかしがり屋のディクディク、サファリカーに尾行されたメスライオン。今まで見たライオンは昼寝中だったので、動いていて、顔をしっかり見せてくれたライオンに出会えたのはうれしい。でも、本当はタテガミの生えたライオンが見たい。 |
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サバンナの朝日 |
恥ずかしがりのディクディク |
堂々としたメスライオン |
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ライオンの後姿 |
アカシアを食むキリン |
ひょうきんな走りのイボイノシシ |
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今日は朝ゲームサファリをして、朝食後マラ・セレナ・ロッジに宿を移す。荷造りは昨夜できていた。朝食時、レストランでトニーに今日旅立つことを言う。トニーは寂しそうな顔をするが、僕たちだって寂しいのだ。他のスタッフも寂しそうな顔をしながら、マラ・セレナ・ロッジもいいところだから楽しいよなんて言う。正直、今回マラ・シンバ・ロッジのあたりでは良いゲームサファリはできなかった。でも、それでも楽しく満足できたのは絶対彼らの存在があったからだと思う。また来なければいけない場所がひとつ増えたような気がする。 10時、マラ・シンバ・ロッジを出て、マラ・セレナ・ロッジへゲームサファリをかねた移動が始まる。ウォーデン本部、キーコロックを経てマラ川に至り、マラ・セレナ・ロッジへ向かう3時間弱の移動だ。 移動中、僕たちが向かう先の空に異変があることに気づく。天候が悪化したとかそういんじゃなくてハゲコウやハゲタカがある場所を旋回し続けている。はじめてじゃないけど、はじめての生々しい死肉を食い漁る光景がそこにはあった。ゴードンさんが言うには、病気で亡くなったヌーをハゲタカたちが食い漁っているらしい。ハゲタカ同士でさえ威嚇しあい、死肉の奪い合いが繰り広げられている。とても厳しい世界だ。 おっと先を急ごう。一般的にゲームサファリは朝夕が多いからか昼間走っているサファリカーは少ない。先を急ぐ僕たちのサファリカーのスピードは速く、サバンナの風が心地よく顔をかすめ、何もない大地を独り占めしたようなうれしい錯覚が楽しい。タンザニアとの国境をかすめると、サファリカーはカバのたまり場であるマラ川のヒッポプールに到着した。でかいぞ、でかすぎるぞカバ!しかも、カバが危険なのかサファリカーを降りると銃を担いだレンジャーさんが付き添って案内をしてくれるらしい。チップが欲しいのか、チップ目当てなのかレンジャーさん!僕たちは終始レンジャーさんと目を合わせずチップを払うことなくカバの立派さに、そしてバカがひっくり返ってもカバには適わないことを思い知った。よーし、次行ってみよう! |
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ヌーを食い漁るハゲタカ |
昼寝中のカバ |
カバらしいカバ |
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ヒッポプールを出るとすぐにマラ川を渡る橋に出た。橋の上からはマラ川の急流に流されたインパラのきれいな死骸があった。あーーー自然は強大だ! そして、この橋を越えるとサバンナらしい風景が一変して某惑星のような風景に変わる。 なんだ、こりゃ!東京ドーム何個分ですか?っていうか、大きさを表すとき東京ドームを基準によく例えるけど、東京ドームの大きさってそんなに一般的ですか?そんな意味のない会話の口をつぐむほどの別世界が広がった。生きてて良かったーーー! そんなマラ川を西に進んだサバンナではじめて出会った動物は確かセグロジャッカルだった。本当はシマウマ、トムソンガゼル、トピだが、そこは演出というものだ。前回お会いしたジャッカルは草むらで何かの死肉を必死に漁っていたのでよく顔が見れなかったけど、よーく見ると怖い顔してるじゃないか。しかし、セグロジャッカルがいるってことは、ライオンやチーターもいるんじゃないかと僕たちが妄想をはじめたころ、目の前の草むらでチーターの子供が飛び跳ねた。ゴードンさんが発見した。僕もすぐさまその姿を目撃した。嫁は飴の袋を開けるのに必死で地団太を踏んだ。しかし、それは僕たちに明るい未来と期待が膨らんだ一瞬だった。 |
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こんな風景@ |
こんな風景A |
凶暴そうな顔のジャッカル |
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マラ・セレナ・ロッジに到着した。あんぐりだ。予約がなかなか取れなくて当然だ、と思った。まず高台から見下ろす風景に、そしてかわいいお部屋に感動だ。滞在中、その部屋の窓からは肉眼で野生のシマウマ、トムソンガゼル、バッファロー、インパラ、ヒヒの動向が簡単に見えるのだ。僕たちはゲームサファリをしていない昼間、ずっと窓際に椅子を並べて過ごした。日本から持ってきた小説はただのお荷物になった。マラ・セレナのマネージャーに媚を売って次回は予約を優先的に受け付けてねと言ったのは確か嫁だった。 |
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マラ・セレナ・ロッジの部屋 |
ロッジの部屋からの眺め |
マラ・セレナ・ロッジ外観 |
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夕方のゲームサファリは気合十分だった。何かを期待した。何かが出てくる自信があった。その自信がどこから来るかは不明だった。 昼食後、ロッジの窓際に陣取った夫婦の会話はチーターに絞られた。そして、この夕方のゲームサファリから願掛けなのかゴードンさんに対するプレッシャーなのか嫁は『チーター♪チーター♪』とサファリカー内でチーター音頭を口ずさみ始めた。お人よしで自己主張のない日本人失格であったが、結果的にサファリを成功させるためには大人のチーターの発見は不可欠だと僕も思っていた。 そんなプレッシャーをかけられ始めたゴードンさんは、マラ川沿いのチーターが頻繁に出没するスポットにサファリカーを走らせ、同時に川沿いのカバとかワニを見せ、僕たちのご機嫌を伺っていた。ありがとう、ゴードンさん。本当は感謝しているのだ。ただ感謝しているからこそ、サファリに悔いは残したくないし、その悔いの原因を少なからずゴードンさんに転嫁する要素を僕たちは持ちたくないのだ。日本人のこの複雑な気持ちは決して伝わらないだろう。 そして今日も大人のチーターは現れず、明日がラストチャンスとなった。お互いのため頑張ろうと言った僕たち三人は少し疲れ始めている。 |
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カバです |
ワニです |
ダチョウです |
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【本日出会えた動物】 サバンナヒヒ、ブチハイエナ、セグロジャッカル、ライオン、チーター、ハイラックス、ゾウ、シマウマ、ヌー、カバ、イボイノシシ、マサイキリン、ハーテビースト、トピ、インパラ、トムソンガゼル、ディクディク、バッファロー、カバ、ワニ、ヘビクイワシ、ダチョウ、ハゲタカ、アフリカハゲコウ、他 |
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